経帷子?

 

昔々の言い伝えです。
この世を旅立つ時、三途の川を渡り彼岸(あの世)へと逝くそうです。
その岸には奪衣婆(だつえば)と呼ばれるご老人があなたの事を待っています。
老人は現世での行いを裁く閻魔様に合わせる前にあなたのすべてを剥ぎ取る仕事をしています。
金品、名誉、権力もちろん衣服も例外ではありません。
剥ぎ取られた衣は罪業の重さとなります。そしてあなたは閻魔様に生前の善行、罪業を問われ裁きを受けます。
善行を行った者は極楽へ。人を傷付けたり、騙したりした人は閻魔様の裁きによって地獄へと送られるでしょう
ですが地獄行の者を救ってくださるのが仏の力。
地獄に仏と言われる唯一の希望はお遍路さんを回って集めた朱印を身にまとう事。
奪衣婆も朱印が押された白衣(積善功徳の浄衣)を身に纏った者は目にも映らず剥ぎ取られる事もありません。
そして閻魔様も一目置き、この人間は善行を行った者だと判断され極楽浄土へとお導きになるそうです。
この言い伝えはお遍路さんにある第52番太山寺鐘桜壁面に描かれている『閻魔様お裁きの図』の物語です。
一度は見ておきたい壁画ですね。
ちなみに三途の川の渡し賃は銭六文と言われています。かの有名な武将真田幸村の家紋も六文銭ですね。
旅人はいつ死んでもいいように衣服の裾に六文銭を縫い付けていたそうです。

三途の川とは文字通り三筋の川があるそうで平安時代では渡り方も3通りありました。
①善人の方は金銀七宝で作られた橋を渡る。
②軽い罪人の場合は山水瀬と呼ばれる浅瀬を渡る。
③重い罪人は強深瀬又は江深淵と呼ばれた難所を渡る。
平安時代末期になると①の橋を渡るが無くなり全員が川を渡るに変化しました。
それから更に時が経つと全員が『渡し船』で渡るに考えが変わっていきます。

四国88か所の御朱印を押された白衣は積善功徳の浄衣・旅立ちの晴れ着とし経帷子(きょうかたびら)と呼ばれています。
経帷子を入手するためにお遍路さん達は日々心を込めて参拝し、各札所にて御朱印を頂戴する巡礼の旅をしているのです。

遍路52番札所絵画